学生さんの中には学校の国語のテストで長文の問題がでたり、あまりにも文学的特徴の強い文章における問題が出たりすると、問題自体の意味がわからなくなったり、そのせいで途中からだんだんとイライラしてきてしまって解答ができない、その結果良い成績が残せないといった問題を抱えていると思います。
そういった問題を解くためにはある程度の「読解力」が必要だったり、テクニックが必要となるのです。
国語の成績を上げるためにも、ぜひこのことは押さえておきたいところです。
その際その読解力だったり、テクニックというものもさほど難しいものではなく、文学的文章の特徴、構成などを知っておけば誰でも簡単に対策できたりします。
そこで今回文学的文章に関して、調べたことをまとめてみました。
文章読解に不安がある人や、国語のスキルをもう少し向上させたいと思っている人はぜひ参考にしてみてくださいね。
今後ブログやwebライター活動でもこの文学的文章が書けるのは武器になるとも言われているんですよ!
文学的文章とは?
まずはここで文学的文章の特徴について軽くおさえておきましょう。
文章には大きく分けて2つの種類があります。
それは、
の2つです。
文学的文章は要するに小説や詩歌、物語、作文などで用いられるスタイルで、説明的文章は論文や、レポート、プレゼンなどの際に用いられるスタイルです。
それぞれにおいて特徴というものがあります。
そもそも文学的とは?
そもそも文学的とはなんでしょうか?
よく耳にする表現ではありますが、正しい意味について理解していないという方は案外多いです。
この「文学的」の使い方としてはたとえば、「文学的な才能」「文学的な味わいのある庭園」のような使われ方をします。
またこの「文学的」という言葉の類義語には、文語的、文芸的、 雅な文章という表現が挙げられます。
文学的文章とは?
特徴 |
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読者の想像力をかき立てるもの |
感情に訴えてくるもの |
その中で文学的文章とは、読者の想像力をかき立てるものであり、その文章の長さに定義があるわけではありません。
つまり短い文でも読者の想像を掻き立てる、ファンタジーの世界に導くような文章であればそれは「文学的文章」と言えるわけですね。
先にも述べましたがこの文学的文章は小説や詩歌、物語、作文などで用いられるスタイルで、そういう場所であれば文学的文章を用いても不自然さはありません。
小説や詩歌、物語、作文などを読む読者はそういった感情に訴えてくるもの、情緒的なもの、つまり文学的文章を期待しているからですね。
小説など読んでいてあまりにも機械的な表現や、事務的な表現、単調な文章ばかりだと面白みがありません。
なので文学的な文章においては、そのスタイルは自由でいいし、読み手によって意味が多少変わってもかまわないということです。
読み手の心情や経験によって、感じ方が変わるのが文学的文章の特徴であり味わい方というわけです。
この文学的文章においては読者の想像を掻き立てるためにあえてすべては書かないといったテクニックが用いられるので、例えば国語の問題などで短い文章なのに言っている意味が理解できなかったりして上手く解答できなかったりするのは、そうした性質を孕んでいるからです。
説明的文章とは?
文章には文学的な文章と、もう一つ説明的文章というものがあります。
この説明的な文章は、ビジネス文章や小論文、論説文、レポートやプレゼン資料などで用いられます。
用途としては「正確に物事を把握する」だったり「正確に物事を伝える」ためのものですので、その際10人いたら10人が同じ理解になるような表現をしなければなりません。
例えば10人のうち、1人でも誤解する、あるいは理解できないのであれば表現を変えなければなりませんし、その文章における意義や意味もなしません。
説明的な文章では、その文章を読んだ人がその内容に対して正しく理解できるかどうかが重要なのです。
そのため機械的な表現だったり、単調な文章、お堅い文章が用いられるのです。
誤解があってはならないからですね。
人に正しく理解させる、人に正しく報告をするのがこの説明的文章です。
文学的文章は、文体が柔らかく、会話調でもあり、平易な言葉も使われるため、親しまれやすい傾向にあります。
一方で説明的文章はある「目的」や「テーマ」に沿って進行するので、論理的に読む力を身につけるためには説明的文章をたくさん読んだ方が良いと言われています。
文学的文章に親しむメリットとは?
そんな文学的文章に親しめるようになるとさまざまな良いことがあります。
親しまれやすい印象を与えることができる
先ほどもお伝えしましたが、文学的文章におけるスタイルはフリーです。
傾向としては文体が柔らかく、会話調でもあり、平易な言葉も使われるため、親しまれやすい傾向にあるのがこの文学的文章です。
また想像を膨らませられるので、読んでいて純粋に楽しいですよね。
例えば、
という説明的な文章があるとします。
しかしこれを文学的な文章に変えると、
となります。
少し大袈裟な表現かもしれませんが、同じことを言うにしても、その文章を読む方は全く印象が違って感じますよね。
少しほっこりするような、温かい気持ちになれるはずです。
なので例えばこのような文学的な文章を書けるようになることで、そういった印象を相手に与えられることができるようになり、ひいては人間生活にも良い意味で影響を及ぼすようになるんですね。
想像力が養われる
また書くのが面倒だというのであれば、文学的な文章を読むだけでも多くのメリットをもらえるようになります。
世の中にはたくさんの文学作品があります。
国内においても、海外においても実に様々なものがあります。
私もこれまで読んできた小説の数は数知れず。中には人生を変えるような、本当に出会うことができてよかったと思える作品もあります。
例えば文学を読んでいると、さまざまな考え方、モノの見方を学ぶことができるので自分の視野が広がります。
今言ったさまざまな考え方、モノの見方というのは元から自分に備わっているわけじゃないんですね。
小説や文献、人との接触において自分の中に構築されていくのです。
その際たるものがこの文学であるわけですね。
なのでそのおかげで物事に新しい見方が加わり、それまで何も感じなかったものに対して、感動できるようになります。
例えば「月」をみて感動できるようになったり、「川」をみて感動できるようになったり、動物や石ころに対しても自分の心とリンクさせることができるようになります。
これが本当に人生において嬉しい成長なんですね。
ひいてはそのおかげで想像力までもが養われるようになります。
特に幼い頃にこの文学的文章を読んでおくことで、まだ柔軟な脳ですから、豊かな人格形成につながるんですね。
なので幼い頃から本をたくさん読めと言われるわけです。
文学的文章には難解なものが多い。慣れたり、読み解くことが得意になれば国語力がます
また目先のメリットでいうと、文学的な文章と親しむことは国語の成績の向上にもつながります。
小学生、中学生、高校生の方々は、国語の授業でテストを受講しなければいけないわけですが、その中でその問題の表現があまりにも難解すぎて問題そのものの意味がわからなかったりすることってありませんか?
例えば、
これは小学6年生に対し、実際に出題された問題ですが、副詞だったり、助詞だったり、形容詞だったり、さまざまな要素が一文に織り交ぜられているのがわかります。
また一文が長く、またそれを構成する要素が多かったりすると、人によっては自分の理解のスピードが追いつかなかったり、最後まで理解できなかったりするわけです。
そういった時に普段から文学的な文章に慣れ親しんでいれば、読解力が向上し、問題の意味がわからないといったことも少なくなる上、それに応じた解答もできるようになります。
恥ずかしながら、私は先ほどの文章の理解に苦しんでしまいました。
私の読解力が乏しいからというのもありますが、文章にはそれぞれその文章の性格があるからです。
一筋縄で理解はできず、文章を正しく読解するためには相応の「スタミナ」やさまざまな文章を知っているという経験が必要になるのです。
文学的な文章は難解なものや、普段あまり使われないような新鮮なもの、また日本古来の表現が用いられたものなどもありますので、そういったものに普段から慣れ親しんでおけば、どのような問題を出されても適応できたりしますよ。
文学的文章の構成とは?
それでは続いて、文学的な文章の構成についてみてみたいと思います。
文学的文章の例
文学的な文章の構成を見ていく前に、文学的な文章とはどういうものなのか?いくつか例を挙げてみたいと思います。
文学的文章例①
彼女の瞳は、星のように輝き、夜空に浮かぶ光の点々がその深奥を映し出していた。その眼差しには、無限の物語が秘められているかのようだった。
文学的文章例②
静かな森の中、小川のせせらぎが優しく響き渡る。木々の葉が風に揺れ、時折、小鳥のさえずりが聞こえる。その音は、心に平和をもたらす。
文学的文章例③
夕暮れの街並みは、黄金色の光に包まれていた。遠くの山々がシルエットとなり、日が沈むにつれて、空は鮮やかな紫色に染まっていった。
また文学的な文章の特徴についておさらいすると、
- 小説や詩歌、物語、作文などで用いられるスタイル
- 書き方は自由で、正解は読者の受け取り方次第
- 読者の想像を掻き立てる
- 感情に訴えかけてくる
ということが挙げられておりました。
文学的文章の構成
以上を踏まえて、文学的文章の構成を分解すると、
- 比喩表現(メタファー、シミリ):
- 「彼女の瞳は、星のように輝き…」瞳を星に例えることで、彼女の目の美しさや神秘性を強調している。
- 視覚的描写(ビジュアルイメージ):
- 「夜空に浮かぶ光の点々…」星や夜空の描写で、視覚的なイメージを豊かにしている。
- 聴覚的描写(オーディトリーイメージ):
- 「小川のせせらぎが優しく響き渡る…」音の描写を通じて、静けさや自然の平和な雰囲気を伝えている。
- 感情の投影:
- 「その眼差しには、無限の物語が秘められているかのようだった。」瞳の中に物語があるという表現で、感情や想像力を引き出している。
- 風景描写:
- 「夕暮れの街並みは、黄金色の光に包まれていた…」時間と光の変化を描写することで、情景の美しさと移ろいを表現している。
- 色彩の表現:
- 「空は鮮やかな紫色に染まっていった。」色彩の変化を具体的に描写することで、視覚的なインパクトを与えている。
このような要素が構成に含まれていることがわかります。
これらの要素を組み合わせることで、読者に具体的なイメージを提供し、情緒豊かな文章を構築してい流わけですね。
文学的文章には正解はないので、この構成が必ずしも必要というわけではありません。
ただ自由とはいっても細かく分析をしていくと、さまざまな要素が組み込まれているのがわかるのです。
また知る人ぞ知る、川端康成の代表作『雪国』の冒頭の一節には、
とあります。
「雪国」といえばまさに国内随一の文学作品ですね。
この雪国の一節より感じられるのは、
構造の簡潔さ:短い文でありながら、情景と状況を明確に伝えている。シンプルな構造が読者に強い印象を与える。
象徴性:トンネルは、現実世界から異世界への「境界」を象徴しており、それを抜けた後に広がる雪国は新しい物語の始まりを暗示している。それが読者の想像を掻き立てる。
詩的なリズム:短くリズミカルな文であり、日本語の持つ音の美しさを活かして、耳に心地よい響きを持たせている。
この短い文章において、先ほどの話にも上がらなかったような要素がさらに含まれているのです。
文学的文章は奥が深く、どれだけ多くの知識が含まれているのかこれでよくわかりますよね。
その文章を読むことによってまるで温泉に使っているような、そんな夢見心地にさせてくれるのが文学的文章なのです。
文学的文章を書くコツ
そんな文学的な文章を書くためには以下のようなコツを意識するといいです。
- 具体的な描写
- 比喩表現の活用
- 感情の投影
- リズムと音の調和
- あえて全て書かない、読者の想像力を借りる
具体的な描写
まずは五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を活用して、具体的な情景や感覚を描写していきます。
なるべく詳細に書くこと。それが読者に鮮明なイメージを提供します。
たとえば、主人公の悔しさを伝えたいなら、「彼は悔しそうだった」だけで終わらせるのではなく、「彼は帰りの電車の中で一言もしゃべらなかった。正面を向き、一点を見つめていた。時々目を閉じ少し上を向いた。」といったような、具体的な描写を心がけることで、なんでもない日常の風景に命が宿ります。
これがまず文学的文章における鉄則です。
比喩表現の活用
またメタファー(隠喩)やシミリ(直喩)を使用して、なんでもない要素に別の命を加える。これが比喩の役割で文学的文章における欠かせない要素です。
比喩を多彩に織り交ぜることで、文学的な文章が容易に表現できるようになります。
例えば、「彼女の瞳は星のように輝いている」というように、単なる瞳ではなく、星のように輝く瞳。
何気ない描写も比喩が加わることによって、捉え方がガラッと変わります。
感情の投影
また登場人物や風景に自分の感情や想いを投影すること。
これにより、読者が共感しやすくなり、物語に深みが増します。
例えば、
作中の登場人物は感情を持ちません。その登場人物がどのような人間なのか、それを決定するのは筆者です。
また何も感情が必要なのは登場人物だけではありません。文章全体に感情が必要なのです。
要するに文学的な文章と説明的文章の違いは、
感情を持っているか、持っていないか
なのです。
文章に感情を持たせることができれば、それは文学的文章になるので、どんどんあなたの主観、感情を盛り込んでいきましょう。
リズムを意識する
また文学的文章にはリズムというものがあります。
例えば文法で体言止めというものがありますよね。
この体言止めを使ったりすると、文章にリズムが生まれます。
体言止めとは語尾を名詞・代名詞・数詞などで止める使い方のことです。
例えば、
私が一番感動した思い出は、富士山頂から見たご来光と雲海です。
という文章があるとします。
これは単なる説明的文章ですよね。
しかし体言止めを駆使すると、
私が一番感動した思い出、それは富士山頂から見たご来光と雲海。実に最高だった。
こういった形になるわけです。
どことなく後者の方が文章にリズムが生まれると思いませんか?
このように文章にリズムを取り入れると詩的な美しさが生まれます。
あえて全て書かない、読者の想像力を借りる
また文学的文章で大切なのは、読者に想像させるということです。
なので読者の想像力を喚起するためにも、あえて全て書かない、読者の想像力を借りるという手法が大切です。
物事のすべてを詳細に説明するのではなく、一部を読者の想像に委ねることで、読者が自ら物語の世界に没入する余地を作るわけです。
例えば、
彼は手紙を読み終えると、それをゆっくりと引き出しにしまった。しばらくの間、彼は何も言わずに椅子に座り続けた。そしてその後一人で部屋を後にした。
夜空に一つだけ輝く星を見上げながら、彼は静かにため息をついた。その理由を知る者はいなかった。その後彼は湖で遺体となって発見された。
一体何があったんだ?と考えさせられてしまったのではないでしょうか?
このようなテクニックを駆使すれば、よりミステリアスな文学的な文章となっていきます。
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