ナラティブをご存知でしょうか?
ナラティブ(narrative)とは、「物語」、「話術」、「語り」といった意味を持つ言葉です。
現在ストーリーテラーと比肩される、ライティングにおいてもビジネスの場においても重要度が増しています。
以前↑の記事でもこのナラティブに関して言及しましたが、昨今ビジネスシーンでもよく使われる言葉で「ナラティブマーケティング」「ナラティブアプローチ」がある通りすでに多くの認知率を得ています。
例えば医療業界で言えば医療従事者が患者の経験や出来事の語りを聞き、患者の視点に立つことで、患者と医療従事者が良い関係を築き、双方が満足できる医療を行えるようになります。
近年特にビジネス全般においてこのナラティブの重要度は増しており、企業が自身のアイデンティティを形成し、消費者やステークホルダーとの強いつながりを築くための基盤となっているのです。
そんなナラティブを活性化させるためにはやはり文章による書き方を学ばなければなりません。
なぜなら文章は誰でも書くことができるため、文章ほど特定のツールを普及させる際に便利なものはないからです。
どんなものも文章力があれば、それを「形成化」できるようになり、このナラティブも例外ではありません。
そこで今回webライティング能力検定1級を保持する筆者がそんなナラティブの書き方に関して調べたことをお伝えしたいと思います。
ナラティブとは?
まずそもそもナラティブとはなんなのか?についてお伝えします。
ナラティブとは?
ナラティブ(narrative)とは、「物語」、「話術」、「語り」といった意味を持つ言葉です。
ナラティブアプローチって今めちゃくちゃ重要なの知ってます?
このナラティブですが、近年特にビジネスにおいて重要視されている言葉で、企業が例えば自社の商品をステークホルダー(顧客)に売りたいときなどに効果を発揮します。
例えばナラティブは企業、またはブランドが自社の商品をPRする際に強く、顧客や関係者に対して強い印象を与えるための強力なツールとなります。
以下の例文をご覧ください。
〇〇社は創業60年の歴史を誇る。〇〇社の商品が今こうしてあなたの手に届くのには訳がある。創業者は東京生まれで、幼い頃いつもいじめられていた。そんな創業者の唯一の楽しみは家に帰って父親の靴を磨くことだった。彼は靴を磨くことが本当に大好きだった。そして靴が大好きだった。それから東京駅で靴磨きの仕事に就き、安定した収入を得られるようになったある日、イギリスの人がお客さんとして来てくれた。そのイギリスの紳士の靴を磨いていると、その紳士が自分の履いている靴を褒めてくれた。有名なブランド靴ではなかったが、君はとても靴を大切にしていると褒めてくれたのだ。その靴磨きの少年はその出会いから物を大切にすること、そしてそれが物を輝かせる秘訣なのだと気付かされた。そんな彼がイギリスへ行き、靴の勉強をし、40代の時に立ち上げたブランドがこの〇〇社なのだ。これはこのブランド創業者と靴のたった一つだけのストーリーである。
これはとある会社の沿革をナラティブを重視しながら解説したものとなります。
これが例えばナラティブなしで解説すると、
- 創業60周年
- 創業のきっかけはとあるイギリス人の助言
- 創業者が40代の時に立ち上げたブランド
こんな感じで大変無機質なものになってしまいます。
しかしナラティブを意識すれば、単なる無機質な情報にも潤いが追加され、ひいては人間の心を動かす情報に変化するのです。
「私は〜」とか「靴が大好きだった〜」とか、情緒的で長い文章にも思えますが、この情緒さや語り癖が好感度を上げ親しみを持たせるんですね。
ストーリーはいつの時代においても、人の心を唯一動かすコンテンツでありますが、このナラティブと掛け合わせることによって、より濃密なストーリーが出来上がるのです。
ナラティブによって、企業はそのビジョン、価値観、目標を効果的に伝え、顧客との感情的なつながりを築くことができます。
ナラティブはそもそも、文学理論の用語として用いられてきました。1960年代、フランス構造主義を中心とした物語の役割について関心が高まるなか、「ストーリー」と異なる文芸理論上の用語として定着したといわれています。
現代では文学、言語学の領域をはるかに超え、心理や教育、医療や社会などさまざまな領域で使われるようになりました。
ナラティブとストーリー、これこそ今求めらているマーケティング体系なのです。
ビジネスにおけるナラティブとは?
今述べた通り、ナラティブは「物語」、「話術」、「語り」といった意味を持つ言葉です。
個人同士がプライベートで話し合う時、それぞれに語り癖があって、個性が存在するように、ビジネスにおいても各企業がこのナラティブを持って自社の個性を発信することが今後大切です。
いわばナラティブとは企業が競合他社との違いを示すとき、その一助となるもので、これだけ同ジャンルにおいて競合がひしめく現代において非常に効果が期待されるマーケティング方式なのです。
さらに以下で、ビジネスにおけるナラティブの意味、用途、および注目される理由を詳しく説明します。
ビジネスにおけるナラティブの意味
ビジネスにおけるナラティブとは、企業が自らのブランド、製品、サービスに関連する物語を構築し、伝えるプロセスです。
これは単なる情報伝達を超え、企業のビジョン、使命、価値観を消費者に伝え、感情的な共感を呼び起こすためのPR方法となります。
ナラティブの使われ方
ナラティブの用途として主に以下の4種類が挙げられます。
- ブランドアイデンティティの強化: ナラティブはブランドが独自のキャラクターを築き、市場で一貫したイメージを保持するのに役立ちます。消費者はストーリーを通じてブランドに感情的な結びつきを感じることができ、これが忠誠心やブランドアドボカシーへとつながります。
- 差別化: 競合が多い市場において、ナラティブは企業を他と区別する手段となります。ユニークなストーリーは製品やサービスを目立たせ、消費者の記憶に残りやすくします。
- コミュニケーションとエンゲージメントの向上: 効果的なナラティブは、広告やマーケティングキャンペーン、ソーシャルメディア戦略を通じて、顧客とのより深い対話とエンゲージメントを促進します。
- 企業文化と内部コミットメントの促進: 内部向けにもナラティブは重要で、従業員が企業の目的や価値観を理解し、共感することを助けます。これが高いモチベーションと生産性へと繋がることがあります。
ナラティブが注目される理由
現在ナラティブが注目されるのには訳があります。
- 感情的な影響力: 人間は物語に強く反応します。ナラティブは単なる事実や数字よりも、感情を動かし記憶に残りやすいため、消費者の意思決定に強く影響を与えることができます。現在どのマーケティング手法も飽和状態にあります。ステークホルダーは商材を選ぶ際に困惑している状況なんですね。そこで企業はこのナラティブを打ち出さなけれればならないし、ステークホルダーもそれを判断基準としているのです。
- ソーシャルメディアの台頭: ソーシャルメディアはストーリーテリングを行う際に理想的なプラットフォームです。企業はリアルタイムでストーリーを共有し、広範囲のオーディエンスと直接コミュニケーションを取ることが可能です。このSNSの普及が進んだことによってナラティブの注目度はさらに増しております。
- 競争が激化する市場: 競争が激化する市場では、消費者の注意を引くためにナラティブが重要な役割を果たします。ナラティブによって、企業は他の同様のオプションから目立つことができます。
看護業界の例
このナラティブはすでに各現場で採用されており、効果が認められております。
例えば冒頭でもお伝えしたように看護や医療業界ではこのナラティブが非常に効果的だとされているのです。
看護や医療業界で言えば、患者さんが要するにステークホルダー(顧客)となるわけです。
ナラティブとはそもそもステークホルダーとブランドとが、密接になることで売上が拡大したり、業務の改善が期待される手法です。
特に看護や医療業界ではまさにこのステークホルダーとの距離感が非常に重要となりますので、ナラティブが絶大な効果を発揮するというわけですね。
例えば医療業界で言えば医療従事者が患者の経験や出来事の語りを聞き、患者の視点に立つことで、患者と医療従事者が良い関係を築き、双方が満足できる医療を行えるようになります。
看護業界でも同様で、こと看護業界においてはナラティブ研修というものがあって、その注目度が伺えます。
看護師はこのナラティブを用いることによって患者が語る病気についての「物語」を理解し、それに基づいて患者の抱える課題を理解し、全人的な視点から解決策を考えていこうとします。
医療や看護業界において、このナラティブは今に始まったことではなく、常に共にあり続けました。
それが今となっても継続してこのような研修が行われていることに、このナラティブの重要性が窺い知れます。
ビジネスに関してはこのナラティブはまだまだ認知されていない状況にはありますが、それでも今後確実にこのナラティブの重要性は増していくことでしょう。
ちなみに看護におけるナラティブ研修では、まずは研修者他同士、看護実践の語りを聞くことで、自己の看護実践を振り返り、看護実践に活かす視点を得ることを目的として行われます。
そしてさまざまな視点を取り入れることで、実際の患者さんのナラティブを引き出す際の一助となるわけですね。
ナラティブ力を高めるために、新人による発表会やレポートがあるようです。
ナラティブの書き方
ここまでナラティブの重要性についてお伝えしました。
なぜナラティブの書き方を覚えなければならないの?
なぜそれで本記事ではナラティブの書き方について言及するのか?というと、文章というのは誰でも書けるからです。
日本の小中学校を卒業していれば必ず誰でも書けるんですね。
なので「何か」を発信するとなった時、この文章ほど汎用性の高いものはないのです。
何かを成し遂げたいと思った際にこの文章ほど頼りになるものはないのです。
言い方を変えればこの文章があればなんでも叶うということなんですね。それに先ほども述べましたが、現在SNSが普及しております。このSNSと文章を組み合わせれば、企業はおろか個人であってもナラティブマーケティングを展開できるのです。
おそらく本記事をお読みの方の多くはナラティブマーケティングをそもそも展開したいと思っていたはずです。
であればやはりナラティブの書き方を覚えようということなんですね。
またナラティブとは何か?を文章化して可視化することによって本当の意味でナラティブとは何かを理解するとともに、実際に自分でナラティブに関して書けることによって各現場でこのナラティブマーケティングを展開できるわけですね。
何事も他人にわかるように説明できた時、初めて自分でも会得できたと言えるのです。
ナラティブの書き方
ナラティブを文章に採用するには、以下のステップに従うと効果的です。
最初に、ナラティブを通じて達成したい目的を明確にします。これが、誰に何を伝えたいのか、どのような感情や行動を引き出したいのかを定義する基礎となります。
ナラティブが響くためには、読者や聞き手が誰かを理解することが重要です。彼らの興味、ニーズ、経験を考慮に入れ、それに応じて内容を調整します。
伝えたい核となるメッセージを一つに絞ります。このメッセージがナラティブ全体の軸となり、すべての要素がこれを強調し支える形になります。
効果的なナラティブは、ただの情報伝達以上のものです。キャラクター、設定、コンフリクト(問題)、解決といったストーリーテリングの要素を用いて、読者が共感し、引き込まれるように構成します。
抽象的な説明よりも、具体的な例やエピソード、関連するデータを用いることで、メッセージがよりリアルで納得感を持たせることができます。
読者の感情に訴えかける言葉選びや表現を用いることで、ナラティブに深みを与え、メッセージの影響力を高めます。
複雑すぎる表現や専門用語の過度な使用は避け、クリアで簡潔な言語を心掛けます。これにより、ナラティブがより広いオーディエンスに理解されやすくなります。
ナラティブを完成させたら、異なる視点からのレビューを受け、必要に応じて改善します。フィードバックを活かして、ナラティブを磨き上げることが重要です。
これらのステップに従ってナラティブを文章に落とし込むことで、効果的なコミュニケーションが可能になります。
以上を踏まえ、実際に例文を見てみましょう。
ナラティブの例文
誰が? | 目的 | 具体的なデータ | 自社の強み |
---|---|---|---|
クリーニング業者 | 集客をするためにナラティブを用いてSNSで自社のPRをしたい | 創業100周年を迎える。日に3組しかお客さんが来ない | 創業当初から使っている機器で、丁寧な仕上げ |
「創業から100年。私たちのクリーニング店は、時代が変わっても変わらぬ価値を提供し続けています。昔ながらの機器で一つ一つ手作業で行う丁寧な仕上げは、他では味わえない質の高さを保証します。しかし、今、私たちは試練の時を迎えています。日にたった3組のお客様しか訪れない日々。でも、私たちは諦めません。これまで長年にわたり支えてくれた地域社会との絆を大切にし、もっと多くの方々に私たちの仕事を知っていただくために、皆さんの力を借りたいと思います。ここで一つ、ご提案です。私たちのクリーニング技術を、ぜひ一度体験してみませんか? 古くからの機器が生み出す、細部にわたる気配りと仕上がりの良さを感じてください。そして、その感動をSNSでシェアしていただけると幸いです。あなたの一声が、私たちの店を救うかもしれません。#100年の信頼 #地域を守る #クリーニング」
このナラティブ例文では、歴史と伝統の重要性を強調しつつ、共感と支援を訴える内容で、フォロワーに積極的な関与を促します。
また仮にフォロワーが少なくてもSNSの特性上、確実に共感するユーザーが現れ、あなたの会社のPRをしてくれるというわけです。
SNSとナラティブの相性は非常に良いというわけです。
またSNSなので、ハッシュタグも活用することで更なる拡散を期待できます。
ぜひ先ほどの取り入れたい要素を踏まえながら、ナラティブの例文を考案してみましょう。
ナラティブの書き方に関する疑問
- ケーススタディとナラティブの違いは何ですか?
-
ケーススタディとナラティブは、共に情報を伝える方法ですが、目的やアプローチに違いがあります。以下にその主な違いを説明します。
ケーススタディ
ケーススタディは、特定の事例やプロジェクト、組織などの詳細な分析を行い、その事例が直面した問題、解決策、および結果を具体的に調査する手法です。主に教育や研究、ビジネス分析で使用され、次の特徴があります:
- 実際の事例に基づく: 現実の組織やプロジェクトの具体的なケースを取り上げます。
- 問題解決に焦点: 特定の問題に直面した状況を詳細に記述し、どのようにそれを解決したかを中心に構成されます。
- データ駆動: 数値データ、統計、具体的な結果に重点を置き、その分析を通じて教訓や洞察を提供します。
- 教育的目的: 学習ツールとして利用され、リアルな問題解決のシナリオを通じて学びを深めることが目的です。
ナラティブ
ナラティブは、特定のメッセージやテーマを伝えるためにストーリー形式を用いる方法です。ビジネス、マーケティング、エンターテインメントなど多岐にわたる分野で用いられ、次のような特徴があります:
- 物語性が強い: 登場人物、プロット(筋書き)、緊張感などのストーリーテリングの要素を使って情報を展開します。
- 感情的なつながりを重視: 読者や聴衆が共感や感情移入をしやすいように、人間関係や感情的な出来事を強調します。
- 教訓や価値観の伝達: 物語を通じて、特定の教訓や価値観、ビジョンを効果的に伝えます。
- エンゲージメントの向上: 聴衆の注意を引きつけ、記憶に残るように設計されています。
ケーススタディが事実に基づいた分析的アプローチを取るのに対し、ナラティブはストーリーを用いて感情や価値観に訴えるアプローチを取ります。どちらの手法も情報を伝える上で有効ですが、用途や目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。
ナラティブはマーケティングにも活かせるスキル!身につけよう!
最近注目度の増しているナラティブ。
特にビジネスにおいて、自社の商品や活動をPRする際に効果的です。
またSNSとの相性はバッチリで、このナラティブを使いこなせるようになれば、SNSを使って更なる利益を拡大することができます。
現在どのビジネスジャンルにおいても競合が多くひしめき合っています。
今後自社のPRをしっかりと行っていきたい、競合にも負けないよう、きちんとステークホルダーの脳に自社の活動や商品を刻ませたい。
このような狙いがあるのなら必ず今回のナラティブがあなたの一助となってくれるはずです。
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